立花孝志について:週刊文春での内部告発記事

2012-10-22

  週刊文春2005年4月14日p26-32に掲載

 <NHK現役経理職員、立花孝志氏懺悔実名告白>

 「私が手を染めた裏金作りを全てお話しします」

≪五輪での飲食代から機材盗難の穴埋め処理まで、皆様の受信料流用の許されざる実態≫

 <「悩み抜いた末の決断でした・・・・。」NHKの現役経理職員・立花孝志氏(37)は、磯野事件をきっかけに、自ら不正経理にかかわってきたという罪の意識に苛まれ続けてきたという。何度か局内で改革を呼びかけたが、かなわず、ついに小誌で機悔する覚悟を固めたのである。>

 私は、一九八六年四月一日にNHKに入局し、和歌山局の庶務部に五年、大阪局の経理部に一年、大阪局の放送センター編成総務で、経理担当を六年、東京の本局の報道局・スポーツ報道センターで経理担当を六年やってまいりました。そして昨年、磯野克巳の巨額横領事件が発覚した日の翌日、七月二十一日に編成局(経理)に異動になりました。

磯野克巳の巨額横領事件発覚以降、NHKの不祥事が相次ぐなか、私は本当に悩んできました。もちろん、私以外の多くの職員も、NHKについて悩み、考える日々だったと思います。

ただ私の場合、「経理」という、まさに直接お金を扱う立場にいました。スポーツの担当をし、オリンピックなどのビッグイベントの経理担当を務めるなど、かなり大きなお金を管理する仕事に携わってきただけに、とても他人事とは思えない衝撃を受けました。

私が携わっていた、スポーツ報道センターの年間予算は、約二百億円です。そこの決定印、つまりスポーツ報道センター長の公印を私は持たされていました。もし私がその気になれば、簡単に磯野さんの何倍もの額の不正を働けたのです。

もちろん、私は皆さまの受信料であり、公金でもあるNHKの予算を私的に懐に入れたことはありません。ただし、番組作りの士気を高めるための息抜きや打ち上げ、裏の社会に潜入取材をするような際には、領収書のないお金も必要だと考え、結果的に不正な経理処理に手を染めていたのは紛れもない事実です。

こんなことがいともたやすくできる性善説に基づいた甘い経理システムでは、いつまた第二の磯野事件が起きないとも限りません。NHKの経理システムは、本当に世間の常識とかけ離れており、変なところに厳しい一方で、ものすごく杜撰な部分がある。その中で私は十八年間仕事をし、むしろ率先してそのシステムを利用し続けてきたのです。

その私に罪の意識を芽生えさせ、こうして皆さまにお詫びしなければならないと決意させたきっかけが、磯野事件だったのです。

昨年の九月九日以降、国会を生中継しなかったことで、NHK批判が大変な勢いで高まっていきました。

九日の夜、特別番組の収録を終えた海老沢勝二前会長と私は廊下ですれ違いました。前会長は、七、八人の取り巻きを引き連れ、両手をポケットに入れて、まさに肩で風を切る、といった様子でした。「俺、今日いったい何回謝ったんだ!」などと周りに言いながら、悠々と引き上げていったのが、印象に残っています。

二日後の十一日に特別番組を見ました。民主党の中村哲治議員が厳しく追及し、退陣を促すシーンなどがカットされており、その露骨な編集に驚き失望しました。

これをひとつの契機に、私は、不適切なNHKの経理に加担してきた罪の意識や、NHKはどうなってしまうんだ、という不安にますます苛まれるようになりました。発熱やのどの痛みが続くようになり、ついに氏は主治医から「うつ病」と結診断されました。

以来、自宅で療養していたところ、一月二十五日に海老沢会長が辞任しました。後任には内部昇格で、橋本元一氏が起用された。正直に申し上げると、改革の兆しは何も見えませんでした。

このまま誰も声を上げなければ、改革を起こすのはどんどん難しくなる。何とかNHKにプラスになる行動を起こそう、そう決めると、うつ症状が和らいでいき、自分の病の原因が改めてよくわかりました。NHKの不適切な経理に当事者として関わってきた自分が、偉そうに告発をする資格があるのか、とも思いました。また、私には妻も二人の子供もおりますし、本当に悩みました。内部告発をすることによって、職務規定違反でクピになるかもしれない、という恐怖もいまだに消えません。

ただ、一方で、橋本会長が先日理事を一新したときに言った、「清新な体制」という言葉がどこまで視聴者に納得してもらえているのか、とても心配です。

私の考えを、NHKの労働組合や所属部署の上司、NHKの野球チームの仲間などにも何度か訴えました。ある上司には一時間、電話で訴え続けましたが、話し合いは平行線でした。野球チームの仲間全員にも、メールを送りましたが、やはり良い返事が返ってこない。みんな、いきなりそんなことを言われても困ってしまう、ということもよく分かります。私もしばらく休職し、家族の励ましのもとでゆっくり考える時間があって初めて決心できたことです。

そこで、海老沢会長を辞任に追い込んだ「週刊文春」で、私が経理担当として過去にやってきたこと、見聞きしてきたことを、全てお話しすることにしたのです。今からでもまだ間に合うのなら、一刻も早くすべてを繊悔しようと決めたのです。

私が初めて不正な経理処理の存在に気づいたのは、大阪局の経理部の一年目、一九九一年のことです。官接待ならぬ、NN接待とでもいえばいいのでしょうか。大阪局の人が東京の本局の人と飲んでいたのを、銀行の方と飲んでいたと記入して経理処理していたんです。私は毎日その銀行の方と取引をしていたので、何の気なしに「先週、うちの上司と食事に行ったでしょう?」と尋ねると、「いや、行っていません。いつも私の名前を使っているみたいです」と言われました。

私もそのときは、「まあ、そういうこともあるよな」と軽く思っただけでした。

その翌年、大阪局の二年目に私は大阪局の経理部から、大阪局放送センター編成総務の、報道とスポーツの経理担当になります。NHKのシステムでいうと、「経理の経理」をする立場から「現場の経理」をする立場になった。つまり、経理部では、「現場の経理」が請求してくる「何をどのくらい必要だ」という請求を審査する立場だったのが、今度は、「何をどのくらい必要だ」と決めて請求する立場になったのです。

 

<引き出しに部長と副部長の決定印>

 異動の初日に一番驚いたのが、私の机の引き出しに部長と副部長の決定印が入っていたことでした。まだ高卒七年目、二十五歳の私がこんなことを全部決めていいのだろうか、と思いましたが、前任者から「これは君が全部決定することになるから」と言われました。

以来、昨年夏までの十二年間ずっと私は決定印を与えられてきました。自分の出張も自分で決済できるような、杜撰な経理システムの中で仕事をしてきました。

実際に仕事を始めると、まずタクシーチケットの使い方が滅茶苦茶でした。泥酔して書いたのか、まったく読めないものや、何で仕事でこんなにかかるんだろう、という高額のものがたくさんあった。

放送記念品もあまりに管理が杜撰でした。テレホンカード、ビール券、ボールペン、図書カードなど色々ありますが、用途を詳しく書く習慣はまったくなかった。「ビール券を取材協力者への謝礼用に五十枚ください」と要求が来たら、「はい、どうぞ」と出していた。誰に、何の取材で渡って行ったのか、厳格にチェックをしていないんです。とにかく、性善説に基づいたシステムで、やろうと思えば、いつでも、誰でも、好きなだけ不正ができる状態でした(NHK広報局は、放送記念品について、「当然、管理体制はあります」と答えた。だが、他の複数の現役職員は、「確かに管理体制はあるが、連絡先まで書くわけではなく不正をしようと思えばできる」と証言している)。

テレホンカード偽造問題の取材トラブルで、約五十万円をポルトガル人の経営する会社に振り込んでキックバックさせたこともありました。私自身が伝票を起票したのでよく覚えている。

大阪放送局の報道番組ディレクターだったAさんは、九三年に「クローズアップ現代」で、当時問題だったイラン人犯罪グループの偽造テレカ問題を取材していました。Aさんは「自分はテレカ偽造機を買いたいんだ」と言って偽造集団に接近していった。その成り行きで実際に偽造機を買わざるを得なくなり、約三十六万円で買ってしまった。この三十六万円もあくまで自己申告で、もちろん領収書などありません。正規の経理処理で落ちるわけはありませんから、当時の彼の上司であるBさんから「立花君、何とかしてやってくれ」と言われました。

そこで、通訳としてAさんと行動していたポルトガル人の会社に約五十万円を振り込み、そこからAさんに約三十六万円をキックバックさせるようにした。余談ですが、その後、テレカ偽造機はポルトガル人が持っていってしまいました。

もちろん、Aさんが熱心に取材をしていた結果、起こったことではあります。ただ、私がやった処理は、明らかに不適切であり、こんな経理処理が簡単にできてしまう体質が、磯野事件を生むべくして生んだのだと、今では思っています。
 

【小誌取材班はAさんにこの件を聞いた。「誰から開いたんだよ?誰かが言うと問題になる。広報を通さないと駄目なんだ」Bさんは、キックバックの件を切り出した途端、「記憶がないから」を連発し、逃げ出してしまった。追いすがってさらに聞くと「僕はあまり記憶がないから。僕も疲れてるんだから、そういうことにしてくださいよ。悪いけどさー」と言うと、自宅に消えていった。

NHK広報局の回答。「十二年前のことで、当時の記録が残っていない上、関係者の証言にも食い違いが多く、テレカ偽造機を購入した事実があったかどうか確認できません。尚、テレカ偽造機を番組に使った事実はありません」】
 

また、プロ野球のキャンプ取材ではこんなこともありました。西武ライオンズが高知県の春野でキャンプをしていた頃のことです。スポーツ報道センターの記者であったCさんが、松坂大輔選手にプレゼントしたと偽って、自宅と上司であるDさんの家に高知の名産品を送っていたんです。

経理局で問題になり、担当者が、業者に電話で送り先を確認したところ、CさんとDさんの自宅や実家の住所だと分かったんです。

【Cさんを直撃した。「そんなのは・・・・ちょっとぉ・・・いや。特に、記憶にないですねえ。うーん。それは終わってますからね・・・・・・」

NHK広報局の回答。二〇〇一年の西武ライオンズのキャンプ取材をした職員が、取材先に高知の名産品を送ったとして経理処理しようとしたところ、実際には、自分の実家や上司の自宅に名産品を送っていたことが当時の経理審査で発覚したのは事実です。

取材先として使われた名義は、ご指摘のような松坂大輔選手ら西武ライオンズの関係者ではありません。名産品の購入費と送料の全額約五万円は、本人に負担させました。

あわせて、本人と上司二人に対し、当時の報道局長が厳重注意しました。

その上で、本人と上司二人に対し昇給を遅らせる人事措置をとりました」】
 

額の多寡はさておき、やっていることは詐取行為です。NHKは、このような経理処理をしようとする公金意識のない人が、普通に働いていける組織なのです。もちろん私自身も同罪です。

上司がいいホテルに泊まれるよう手配し、長い間無駄な経費を処理し続けてきたのは私です。NHKの仲間同士での飲食で、経費を使って美味しいものを食べたことも何度もある。

もちろん職場での親睦を深めることも必要ですし、全部が全部ダメではないと思います。ですが、不適切な経理で何十万円もの裏金を即座に作れたり、子供のような嘘で、自宅に名産品を送れたりするような組織は、やはり異常でしょうし、市民感覚と明らかにかけ離れている。私は、病気で職場を離れたことで、少し普通の感覚が戻ってきたように感じています。

では、裏金はなぜ必要なのか。そして、どのように作られるのか。私の経験からお話しします。

私は二〇〇二年ソルトレーク五輪の現地経理担当でした。大会期間中は、現地でバンク・オブ・アメリカにNHKの口座を作り、お金の管理を引き受けていました。そこで恥ずかしながら、約三百万円の裏金を作ました。

裏金はビッグイベントではどうしても必要になる。当時は罪悪感もありませんでした。スタッフはあれだけのハードな仕事をこなすのですから、ガス抜きが必要だと考えていました。NHK職員の名誉のために申し上げますが、ほとんどのスタッフは、非常に熱心に、寝る間も惜しんで仕事をしています。ただ、仕事後にはビールを飲みたがる人だって当然いるし、たまには飲み会や打ち上げも必要でしょう。

でもNHKでは、半年前から必要な分のホテルや弁当などはすでに発注してしまっているので、それ以上の飲食費に関してはかなり面倒な事務処理が必要になる。しかも、NHKの経理では、レシートが出せる庖では必ずレシートを提出しなくてはならない。レシートにビールと印字されては経理局で通用しませんから、裏金が必要なんです。

また現地で通訳やドライバーを雇うのですが、彼らには領収書をもらう習慣がない。だから彼らに飲食代やガソリン代を渡すのも、裏金から、ということが多かった。

裏金作りの方法は大きく分けて三つです。

ひとつは五輪の入場券を売る。NHKが持っている余った入場券を売るのです。ソルトレーク五輪の時は開会式が一枚三百ドル程度だったと記憶しています。それらを現地スタッフに売る。それを彼らは親戚や友達に売る。そうすれば裏金はすぐに作れます。私自身も現地の通訳の方に実際に売っていました。

もうひとつはホテルを売る。VIP用にはいい部屋を取ってあるのですが、役員の皆さんは開会式だけ、というパターンも多い。その後、ずっと空いている部屋を一泊いくらで売る。現地のコーディネイターなどに声をかければ、宿が必要な人はすぐに見つかります。

三つ目は、現地で国内取材に回る名目で国内線のチケットを買い、領収書だけ取ってキャンセルする。  この三つを主な方法にして三百万円以上の裏金を作り、現地での打ち上げ代、他より働きがよかったスタッフへのボーナス、あるいはピール代、正規には認められない、おつまみ代、お菓子代などに充ててした。パスポートが盗まれたスタッフの再発行代もここから捻出したのを覚えています。五輪後にあてていた裏金は、その後、同じ地で行われるパラリンピックに引き継がれ、最終的には東京での打ち上げで使い切りました。

 

<「泥棒がNHKの職員をしている」>

九八年に聞かれたバンコクのアジア大会でも私は現地経理担当でしたが、ほぼ同じことをやっていました。アテネ五輪では、こんなことがありました。昨年七月に磯野事件が発覚したため、七月末に、私とスポーツ報道センター長のEさん、アテネの現地経理担当の女性職員の三人で、約一時間に及ぶ議論をしたんです。その語果、Eさんが「今はこういう時期だから、今回は正規の経理処理だけでいこう」という方針を決めました。逆に言えば、その前までは、裏金など当たり前だったということです。正式に経理に届ける名目と実際の用途が違うことは、他にも多々ありました。でも私は、これは経理局に出しにくいから裏金にしているだけで、結局はいい番組作りのために使われるお金なのだと、思い込んでいたのです。 

【Eさんに裏金の存在について確認を求めると、「ノーコメントだし、広報を通してください」とのことであった。NHK広報局の回答「(裏金の存在については)事実ではありません」】

 NHKでは非常によく盗難が起きます。局内でも、パソコンが何度も盗まれている。あるNHK幹部は「NHKに泥棒、がいるんじゃない。泥棒がNHKの職員をしているんだ」と言っていたくらいです。昨年、甲府局の職員が備品のパソコンを盗んでネットで販売していたとして逮捕されましたが、氷山の一角です。

また、局内だけでなく、海外取材でもNHK取材陣はよく盗難にあっています。それ自体は、犯人が悪いわけですから取材班が責められるべきではありません。問題はその後の処理です。

NHKでは、何百万円の機材が盗まれようが、警察に届けないこともあります。被害届を出せば、自分の部署の不始末になり、出世に響くため隠そうとするのではないか。表ざたになれば、会計検査院のチェックを受けることにもつながるし、「皆様の受信料を盗まれやがって!」とバッシングが起こるかもしれない。いいことは何もありませんから。

ですが、会計検査院法第二十七条には、〈会計検査院の検査を受ける会計経理に関し左の事実があるときは、本属長官文は監督官庁その他これに準ずる責任のある者は、直ちに、その旨を会計検査院に報告しなければならない。
 

一 会計に関係のある犯罪が発覚したとき

二 現金、有価証券その他の財産の亡失を発見したとき〉

と書いてあるのですから、明確に法律に違反している。

たとえば、二OO二年のソルトレーク五輪のとき、ニュースを受ける東京の側で大問題になったことがありました。数百万円もする高価なレンタルの編集機を盗まれたのです。最終的にどう処理したかは定かではありませんが、いずれにせよ会計検査院に報告したという話は聞きません。

この経験からNHKは、アテネ五輪での機材の搬入搬出時には警備をつけるようになりました。
 

【当時の五輪事務局長であったFさんに聞くと、「申し上げることはできません。広報を通して下さい」の一点張りであった。NHK広報局の回答。「二00二年ソルトレーク五輪の時に、東京の放送センター内に設けられた臨時作業室から、編集機と映像モニターが盗まれたのは事実です。

NHKとしては、当時、約百二十万円分の被害届を警察に出しています。

また、ソルトレーク五輪で盗難にあった編集機および映像モニターについては、事件当時は会計検査院には報告していませんでしたが、昨年の不祥事以降、管理体制を強化するとともに、会計検査院への報告については厳格に運用しており、この件についても状況報告はしています」

会計検査院に聞くと、「盗難の場合は口頭ではなく公文書による報告がなければならないのですが、ソルトレーク五輪の件に関してNHKから報一告は来ていません」】
 

九八年のフランスW杯のときには、NHKが借りたホテルで盗難事件、があった。部屋の金庫から当時の取材班のデスクの一人、Gさんが約三十万円相当の現金を盗まれたんです。正直に東京サイドに報告したところ、対応できない、と言われたそうです。そのときは、私の前任でスポーツ報道センターの経理担当だったHさんが処理しました。NHKの持っていたチケットを現地で売ったお金で処理したとHさんから聞きました。

 

【Hさんを直撃したところ、慌てた様子で、「(足早口で)いや、あのちょっとごめんなさい、あんまり記憶がないんですよ、私も。あんまり記憶がないんです」

NHK広報局の回答。「職員の個人の所持金十万円が、現地ホテルの部屋から盗まれたため、現地の警察に被害届を出しています。私的な被害なのでチケットを売って補填した事実はありません」】
 

二OO三年のウィンブルドンでも盗難事件がありました。現地で、約九十万円相当のコピー機や机、椅子などが盗まれたのです。相手はプロの窃盗団だったようでNHKがレンタルしていたモノを回収しに来た業者の振りをして、まんまと運び去ったのです。

当時の報道局長のIさんに報告がいったのですが、Iさんはスポーツ報道センターのJ企画制作部長と報道局総務部のK担当部長に「スポーツのほうで何とかしろ」と言ったそうです。これを私はJさんから直接聞かされました。

【Iさんを直撃すると、「それはちょっと即答できないですね。そんなことあったかな・・・。なんか、そういうようなのを、聞いたような感じも、記憶にないわけじゃないけど」との返事であった。

Jさんにも話を聞こうと再三訪問したが、取材することはできなかった。

NHK広報局の回答。「二OO三年のウィンブルドンでおよそ九十万円相当の備品が盗難の被害にあったのは事実です。大会会場内に設けられていた国際放送センターから、NHKが使っていたコピー機と机・いすが盗まれたものです。

NHKとして国際放送センターを管理する主催者に抗議するとともに、地元警察に被害屈を出しました。

報道局長が『スポーツの方で何とかしろ』といった事実はなく、逆に当初『管理に過失があれば弁済させるように』と指示していました。

またO三年のウィンブルドンでの盗難は短期間のレンタル品であることから、会計検査院には報告義務はなく報告していません」】

盗難に関しても、悪いのはもちろん盗んだ側ですが、こちらにも落ち度があったことは否めません。いずれにせよ、公金を預かって仕事をしているわけですから、それを盗られてしまったのなら、きちんと視聴者の皆さまに公表し、会計検査院にも報告すべきだったと今では思います。そうすることで職員の公金意識も高まるし、「盗まれでも裏金で何とかできるL という安易な考えもなくなるはずです。

今回の私の告発を、うつ病で精神的に参ってしまった職員の暴走だと噂して、何とか妨害しようとする人も局内にはいるようです。でも、もちろんそれは事実ではありません。私は十八年間仕事をしてきたNHKが大好きですし、公共放送は絶対に必要なものだと信じています。ただ、信頼を回復するには、職員ひとりひとりがまず謝って、懺悔して、完全に膿を出し切る必要があると思うのです。

私は、この告発によって、特定の職員の個人攻撃をしたいわけでは全くありません。私があえて実例を示すことで皆様にお伝えしたかったのは、NHKの経理システムがいかに社撰で、また一方では実態とかけ離れて厳しすぎるかということです。それゆえ、不適切な経理処理が発生し、不正の温床になっているのです。

橋本新体制のもとで、こうした視聴者を裏切る行為が根絶することを切望してやみません。もちろん、不適切な経理処理を率先してやってきた自分への罰を受ける覚悟はできています。

 

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